お見事!横浜流星の七変化
まず、目を引いたのは主人公鏑木役の横浜流星さんの変身ぶりに驚いた。
逃亡中に職を転々とするのだが、衣装や髪型だけではなく姿勢や立ち振る舞いが
リアリティに溢れ、本当に自分の身の回りに鏑木が潜んでいても気が付かないのかもしれないと
少し怖さも感じるほどだった。俳優の力量を感じる変身ぶりだった。
本人を知る人物たちと社会からメディアを通して
犯罪者として扱われるギャップ。
逃亡劇を繰り返す中で鏑木本人を知る人物たちと社会が作り上げる“極悪人”の像が
この物語の見所とストーリー展開の大きなキーになっているように感じた。
ストーリーが進むにつれ、この極悪人を見る目から逃亡することを応援する視点に
変化していくことも見所の一つかもしれない。
立場と真実の間に揺れる山田孝之の演技は必見。
演技派で知られる山田孝之さんではあるが、この物語の中で最も葛藤を抱えるのが山田さんが演じる
又貫だと思われる。警察という権威と現場で知った真実の狭間で揺れ動く心を表情の下に
しっかりと隠した存在感が出ていたように思う。(偉そうで、すみません。)
エンディングの演出がにくい
※ネタバレになってしまうので詳細は伏せます。
この手のストーリーは大体、後味が悪いものになりがちだが、
ラストシーンの腑に落ち具合が際立った作品だったように思う。
世知辛い世の中だという意見は多いと思うが
私たちが生きる世界はこうであって欲しいと切に願いたくなる締めくくりだったと。
■創手の視点
いやらしい話になるが、それなりに予算はしっかりついている作品だと思う。
(さすが、Netflix様です!)
工事現場のシーンではエキストラが多数投入されていたし、リアリティもあった。
強いて言えば、冒頭わかりづらい部分が多く、事件の走り出しに尺を使いすぎたのかなとも
思うが、原作ものであることもあって物語自体はしっかり骨太な印象がある。
ハラハラ:★★★★⭐︎
社会性:★★★★⭐︎
エンターテイメント性:★★★⭐︎⭐︎
■ジャンル:サスペンス
■視聴手段:Netflix
■キャスト:横浜流星・吉岡里帆・山田孝之・森本慎太郎・山田杏奈・松重豊
■スタッフ:監督 藤井道人・脚本 小寺和久 藤井道人・原作 染井為人
■あらすじ
日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木は日本各地に出没し沙耶香、和也、舞らと親しくなる。一方、逃走中の鏑木を追う刑事の又貫は、潜伏先で出会った沙耶香らを取り調べるが、鏑木はまったく別人のような姿だった。やがて顔や姿を変えながら逃走を繰り返している鏑木の真の目的が明らかになる。
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